昭和11年の日本を舞台に、“交際ゼロ日婚”から始まる夫婦の愛の物語を描いたドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)。芳根京子演じる主人公・なつ美の幼なじみであり、密かに想いを寄せる瀬田準太郎を小宮璃央が演じている。
「『小宮璃央が出ているから観てみよう』と思ってもらえる俳優になりたい」。そんな明確なビジョンを掲げる彼にとって、藤原竜也や広瀬アリスら実力派俳優陣と共演した『全領域異常解決室』(フジテレビ系)での経験は、大きな転機となったという。今作では、原作の世界観に丁寧に寄り添いながら、瀬田という役とどう向き合ったのか。作品への思いとともに、俳優としての成長や今後のビジョンについて語ってもらった。
「お仕事に関しては、瀬田くんとは逆(笑)」

ーー原作や台本を読んだときの印象を教えてください。
小宮璃央(以下、小宮):原作は現在出ている巻まで一気に読ませていただいたんですが、とにかく続きが気になって止まらなかったです。感情のやりとりがすごくストレートで、読んでいて自然と引き込まれる力のある作品だなと感じました。それに加えて、台本を読んだときには「これはもう漫画がそのまま飛び出してきたんじゃないか」と思うくらい、キャラクターの表情や仕草までしっかりリンクしていて。改めて、“胸キュン”ってこういう感覚なんだなと体感できる作品だと思いました。
ーー瀬田準太郎というキャラクターを演じるうえで、原作はどの程度参考にされましたか?
小宮:撮影の前にもう一度原作のシーンを読み返すようにしています。やっぱり原作ファンの方がドラマを観たときに「実写版瀬田くんだ!」と、感じてもらえたらいいなと思っています。特に表情や仕草、ちょっとしたリアクションなんかは原作に忠実に演じられるよう意識しています。もちろん映像作品としてのオリジナルの部分もあるんですが、そこに原作の魅力をどう活かすか、毎回考えながら演じています。

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ーー昭和初期という時代設定ですが、撮影に入ってから印象に残っていることや驚いたことはありましたか?
小宮:驚いたことがあって、今(インタビュー時点)撮影しているのが大きなお屋敷のセットなのですが、造りの再現度がすごくて。特に天井の低さにはビックリしました。おそらく当時の日本人の平均身長に合わせて作られていたかと思うのですが、僕の身長だと頭をぶつけてしまうこともあって(笑)。「昔の家ってこんなにコンパクトだったんだな」と実感として分かる体験でした。そういう細部がリアルだからこそ、自然と役に入り込める環境になってるんだと思います。
ーー瀬田準太郎というキャラクターとご自身の似ているところ、逆にまったく違うところがあれば教えてください。
小宮:似ているところで言うと、瀬田くんのように好きな子に意地悪をするっていうタイプではなかったのですが、僕も小さい頃は素直に振る舞えなかった記憶があります。気持ちをまっすぐに伝えられないところは少し共感できる部分ですね。あと、大人になった瀬田くんが持っている「人に尽くしたい」という思い。そこはすごく自分と重なるところがあって、だからこそ演じていても自然に感情が出てくるというか、すっと入っていける役柄でしたね。

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ーー瀬田は器用に仕事をこなして周囲から頼りにされる存在ですが、小宮さん自身は「頼られる」タイプですか? それとも「頼る」タイプですか?
小宮:お仕事に関しては、瀬田くんとは逆なところがあるかもしれません(笑)。僕はそんなに器用なほうではなくて、最近もお芝居で悔しい思いをしたことがあって、「自分がもっと器用だったらな」と感じる瞬間は多いですね。でも、その分「頼られたい」という気持ちは強いです。瀬田くんみたいに、自然と周りに頼ってもらえる存在になれたらいいなと、憧れも込めて演じていました。
芳根京子さんは「目の演技が圧倒的です」
ーー芳根さん演じるなつ美の幼なじみ役ということで、現場でもご一緒するシーンが多いと思います。撮影現場での芳根さんとのコミュニケーションはいかがですか?
小宮:芳根さんとは今回が初共演なんですが、最初の撮影からずっと「この人のようになりたい」と思わせてくれる方でした。年下の僕に対しても、芝居の悩みに真剣に耳を傾けてくれて、一つひとつの言葉にも温かさがあるんです。役者としても、人としてもすごく尊敬できる方で、現場では本当にたくさんのことを学ばせてもらっています。

ーー瀬田は「小学生の頃になつ美に意地悪していた」という設定ですが、そうした“過去の関係性”をどうお芝居に落とし込んでいきましたか?
小宮:今回は瀬田くんとなつ美ちゃんの幼少期を演じてくれる子役の2人とも、ちゃんと挨拶して、芝居も見させていただきました。2人のやりとりを見て、「この感じなら大人になってもぎこちない関係が残ってるかもな」とか、そういうところを参考にしました。
それを自分の子ども時代の記憶と重ねながら、「こんなこと、昔あったかもな」と想像して役に落とし込んでいきました。役の過去を“リアルな思い出”として感じられるような作業だったと思います。
ーー実際に現場で芳根さんのお芝居を見ていて、役者として影響を受けた部分はありますか?
小宮:本当にたくさんあります……。お芝居って、正解がない世界だと思っていたんですけど、もしあるとしたらこういうことなんだろうなって、腑に落ちるようなお芝居をされるんですよ。芳根さんは“なつ美を演じている”というより、“なつ美がそこに生きている”ような感覚を与えてくれる方だなと。表情一つとっても、セリフの間や声のトーンもすべてが自然体で、「これは芳根さんから出ている感情なんだな」と伝わってくるんです。
ーー具体的にはどんなところにそれを感じましたか?
小宮:やっぱり、目の演技が圧倒的ですね。セリフがなくても、目だけで気持ちが伝わってくる。表情の繊細な変化、顔のトーンやテンションの作り方もすごく的確で。芳根さんのお芝居からは日々勉強させてもらっています。

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ーー芳根さんの“座長”としての存在感はいかがでしたか?
小宮:ものすごく素敵な座長です。現場に入る時に、大きな声で「おはようございます!」と、全体にご挨拶してくださるんですよ。それを聞くだけで現場の空気がピシッと引き締まるし、僕自身も「今日も1日、頑張ろう!」って気持ちになれるんです。長時間にわたる撮影が続く日もあるんですが、そのたびに芳根さんの挨拶が、みんなの士気を上げてくれていて。改めて、「挨拶って、こんなに人の気持ちを動かすんだ」と実感させられました。主演として現場の中心に立つって、お芝居だけでなく、こういうところでも支えてくれているんだなと感じましたね。
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ーー『全領域異常解決室』にも出演されていた小宮さんですが、『波うららかに、めおと日和』の現場ならではの空気感や雰囲気について、どう感じていますか?
小宮:一言で表すなら、本作の現場は“癒し”です。なつ美ちゃんの家族を演じるキャストのなかに、小学校1年生の双子ちゃんがいるんですけど、そのふたりが本当に愛らしくて。初めて会ったのに「お兄ちゃん!」って駆け寄ってきてくれて、思わず「なんでも買ってあげるよ」って言いたくなるくらい(笑)。僕自身、兄がいるんですが、その存在を思い出すような、自然と優しい気持ちになれる瞬間がたくさんありました。現場全体にもそのあたたかさが伝播していて、キャストもスタッフもみんながどこか和やかで笑顔になれる。作品が持っている穏やかな空気感って、現場からにじみ出ているんだなと実感しました。
ーー過去のご出演作を振り返って、俳優としてターニングポイントになったと感じる作品はありますか?
小宮:『全領域異常解決室』は自分にとって大きな気づきのある作品でした。藤原竜也さん、広瀬アリスさん、ユースケ・サンタマリアさんといった経験豊富な俳優の皆さんとご一緒させていただいて、自分がいかにまだ未熟かということを思い知らされたというか、「もっと成長しなきゃ」と心から思えたんです。感情の動かし方や台詞の間の取り方ひとつとっても、自分が想像できなかった表現を目の当たりにして、「ああ、こういう引き出しを持てるようにならないといけない」と強く思いました。刺激の連続でしたね。

ーー俳優として、ご自身の“強み”はどんなところにあると感じていますか?
小宮:得意かどうかは他の人に判断してもらうことだとは思うんですけど……自分としては“表情で伝えるお芝居”がすごく好きですね。セリフよりも、目やちょっとした仕草に気持ちが出る瞬間があるじゃないですか。ああいう、言葉にしきれない感情を映すようなお芝居ができたらいいなと思っています。
ーーでは、今回の作品を経て、今ご自身の中で思い描いているビジョンがあれば教えてください。
小宮:実は明確にあって。でも、口にすると叶わなくなってしまうような気がして、あまり言わないようにしてるんです(笑)。でもひとつだけ言えるのは、「小宮璃央が出ているから観てみよう」と思ってもらえるような俳優になりたいということ。例えば、二宮和也さんが出てる作品って絶対観たくなるじゃないですか。お名前を聞いただけで安心できるというか。その域を目指したいんです。「この人に任せれば、作品が面白くなる」「きっと大丈夫」と思ってもらえるような存在を目指して、これからも頑張っていきたいです。
■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
公式X(旧Twitter):https://x.com/meotobiyori
公式Instagram:https://www.instagram.com/meotobiyori/
公公式tiktik、
編集部の感想:
小宮璃央さんが『めおと日和』で芳根京子さんから刺激を受けるのは、素晴らしい成長の証ですね。彼の明確なビジョンを持ち、役に向き合う姿勢が、観る人に感動を与えることでしょう。昭和の情景を通して、心温まる物語が展開されるのが楽しみです。
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