電気自動車(EV)バッテリーで世界をリードする中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は、香港での重複上場にあたり、一部の米投資家の参加を制限する方針であることが明らかになった。米中の緊張が新規株式公開(IPO)市場に波及している可能性が示唆された。
CATLは株式公開の方式を、米国のオンショア投資家を除外するレギュレーションSに変更。これによって米規制当局への報告義務が一部免除されると、事情に詳しい複数の関係者は先週、ブルームバーグ・ニュースに話した。
大半の大手米機関投資家はオフショア口座も保有しているため、方式変更後も参加できるが、個人投資家の資金を預かる国内ミューチュアルファンド(投資信託)の一部などは、参加できなくなる。これほど大規模な香港上場が米国のオンショア投資家を対象外とするのは異例だ。
関係者らによれば、CATLがこの変更を決定したのは米国での法的責任を回避する狙いがある。一部の米投資家が参加できなくても、すでに十分な需要があるとCATLは判断したという。非公開情報であることを理由に、関係者は匿名で話した。
CATLの広報担当者に通常業務の時間外にコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
9日のブルームバーグ報道によれば、CATLは今回の香港上場で40億ドル(約5800億円)以上の調達を計画している。実現すれば今年最大の上場案件となる。関係者によれば、公開規模が拡大され、加えてオーバーアロットメント(追加売り出し)を実施した場合、最終的な調達額は53億ドルに達する可能性がある。CATLは12日にも投資家からの注文受付を開始する見通しだ。
関連記事:JPモルガンとBofA、米議会の反対よそにCATL上場幹事継続
原題:CATL to Bar Some US Funds From World’s Biggest Listing of 2025(抜粋)
(株式公開の規模について情報を追加します)