富山県南砺市、約40ヘクタールの広大な土地で動き出す、未来型ネイチャーパーク「Play Earth Park Naturing Forest(プレイアースパーク ネイチャーリング フォレスト)」。2027年初夏のオープンに向け、その全貌が徐々にベールを脱ぎつつある。
仕掛けるのは、スポーツアパレル大手の「ゴールドウイン」。単なるリゾート施設とは一線を画すこの壮大なプロジェクトが目指すのは、感性を刺激し、創造性を解き放つ、“原体験”のアップデートだ。
3つのエリアで紡ぐ、自然との多様な対話
ゴールドウイン創業の地である、富山県で開発を進める「Play Earth Park Naturing Forest」は、「パークエリア」「フォレストエリア」「ガーデンエリア」の3つのエリアで構成される。
あらゆる人々にとっての新たな原体験となるネイチャーパークは、広大な敷地を生かし、それぞれのエリアで異なる自然体験を提供することで、子どもから大人まで、あらゆる人々の想像力と探求心を刺激する設計だという。
「パークエリア」は、まさに“地球と遊ぶ”場所。子どもたちは、遊具のように設計された建築物や、起伏に富んだランドスケープの中を駆け回り、感性をフル活用して自然との対話を楽しむことができる。
隣接する「フォレストエリア」には、シンボリックな展望台がそびえる。周囲の自然を一望できるだけでなく、鳥や虫、植物の生態観察を通して、自然界の神秘に触れることで知的好奇心を育んでいく。
そして「ガーデンエリア」では、自然の美しさに浸り、心身を癒やすひとときを。多様な植物が共生するナチュラリスティックガーデンや、自然に溶け込むように設計された宿泊施設で、自然の営みを肌で感じ、新たなライフスタイルを体験できる。
©株式会社ゴールドウイン
「遊び」と「学び」を融合
創造力を刺激する空間デザイナーたちの挑戦
同プロジェクトに際し、国内外で活躍する8組の建築家・デザイナーと協業したゴールドウイン。衣食住に加え、「遊び」「癒し」「学び」「美しさ」と、多様な体験を通じて、訪れる一人ひとりの記憶に深く刻まれるような特別な空間・施設が創造されていく姿が、完成図からも読み解くことができる。
それはまさに、失われた何かを取り戻す旅のようなものなのかもしれない。
©株式会社ゴールドウイン
施設全体のランドスケープデザインを担当するのは、「十勝千年の森」を手がけた英ガーデンデザイナーのダン・ピアソン率いる「ダン・ピアソン・スタジオ」と、「高野ランドスケーププランニング」が共同で担当。
美しい自然風景を模倣しデザインされたガーデン「ガーデン・ランドスケープ」は、日本の伝統的な暦である七十二候の考えに基づき、四季折々の変化を楽しめる空間を提案。桜や藤、ススキなど、さまざまな植物が彩る風景は、訪れるたびに新しい発見を与えてくれるだろう。
また、施設全体の建築計画を取りまとめるマスターアーキテクトを務めるのは、「新素材研究所」の榊田倫之。南砺市に根付く「土徳(どとく)」の文化に触れ、地域の普遍的な美しい自然に学びながら、新たな自然体験施設のデザインに取り組んでいくという。
©株式会社ゴールドウイン
「プラザ棟」
設計者:川島範久建築設計事務所
Naturing Forest の玄関口となる「プラザ棟」は、パークとガーデンをつなぐ、人々が集う拠点。国内初となる環境性能評価システム「Living Building Challenge」の認証取得を目指し、県産材の活用、雨水利用、ソーラー発電など、さまざまなサステイナブルな取り組みを通じて、環境保全への強いメッセージを発信する。
©株式会社ゴールドウイン
「展望台/コテージ」
設計者:リナ・ゴットメ・アーキテクチャ
「Play Earth Park Naturing Forest」の中心に位置する「展望台/コテージ」は、自然観察の拠点。螺旋状の階段の最上部からは砺波平野を見渡せ、地下階ではガラス越しに土中の根や虫を観察できる。まさしく、鳥や虫の視点で自然を観察する舞台に。
©株式会社ゴールドウイン
「パーク」
設計者:萬代基介建築設計事務所
「子どもの野性の解放」をテーマにした「パーク」は、まるで洞窟や岩山を探検するような、ワクワクする冒険空間。子どもたちは地形と会話しながら、遊びを通して自発的にルールを創造し、遊びを発展させて主体的に学ぶ力を育んでいく。
©株式会社ゴールドウイン
「ヴィラ」
設計者:新素材研究所
南砺市の散居村からインスピレーションを受け、自然の営みに没入する空間をデザインした「ヴィラ」。東西南北に張り出した壁と修景池に浮かぶ船のようなデザインが特徴。食事やサウナなど、ヴィラでの滞在体験を通じて、自然に没入できる時間を贅沢に楽しむことができる。
©株式会社ゴールドウイン
「キャンプサイト」
設計者:Assemble
富山に根付く農業や工芸、自然との関わり方を学ぶ、新しいキャンプ体験を提供する「キャンプサイト」。かつての水田の地形を活用し、それぞれのキャンプサイトごとに異なる植物を育て、それらを使った農業や工芸の知識や技術を知ることができる。
©株式会社ゴールドウイン
「アクティビティセンター」
設計者:本瀬齋田建築設計事務所
桜ヶ池の水辺、アウトドアでの遊びの拠点となる「アクティビティセンター」。アウトドアショップやカフェベーカリーが隣接するほか、富山周辺の自然でのアウトドア・アクティビティをサポートする、ウェアやギアのレンタルやガイドツアーも提供。
未来への希望を描き出す
「Play Earth」という哲学
創業70年の節目となる2020年よりスタートした、「GOLDWIN PLAY EARTH PARK事業構想」。掲げるコンセプト「Play Earth」(地球との遊び)は、自然との共生、持続可能な社会の実現に向けた、同社の強い意志表明とも捉えることができる。
情報技術の発達により、バーチャルな世界に多くの時間を費やす現代人にとって、「Play Earth Park Naturing Forest」は、人と自然の関わりをあらためて見つめ直す体験を与えてくれるに違いない。
疲れた心を癒やす自然との触れ合いの場として、子どもたちの好奇心と創造性を育む遊びの空間として、そして自然とふたたび相互関係を築く足がかりとして……。富山発、未来への希望を描き出す、新たなランドマークに期待が高まるばかりだ。
Top image: © 株式会社ゴールドウイン
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