私たち人間は、男性も女性も共に恋する生き物です。
しかしオーストラリア国立大学(ANU)の最新研究で、恋の落ちやすさには男女の間に性差があることがわかりました。
研究によると、男性の方が女性よりも早く恋に落ちやすいことが示されたのです。
その一方で、女性の方にも男性とは異なる恋愛のとある性質がありました。
では、恋の調査結果を詳しく見てみましょう。
研究の詳細は2025年2月24日付で科学雑誌『Biology of Sex Differences』に掲載されています。
目次
- 恋に落ちるタイミングに性差はあるのか?
- 恋に落ちやすいのは男性だが、女性は〇〇しやすい
恋に落ちるタイミングに性差はあるのか?

「いつ恋に落ちたの?」という問いかけは、恋愛話の定番ともいえるものです。
人によっては「出会った瞬間にビビッときた」と答えるかもしれませんし、別の人は「何度か会ううちにだんだんと惹かれていった」と語るでしょう。
一般的に、恋愛の始まり方には個人差がありますが、「男女で傾向に違いがあるのでは?」という疑問は以前から存在していました。
実際に、海外におけるいくつかの研究では、男性の方が「愛してる」という言葉を先に口にする傾向があると報告されており(※ 海外での傾向なので、日本で同じことが当てはまるとは限らない)、進化心理学の観点からも、男性はより多くの繁殖機会を求める戦略を取る傾向があると考えられています。
ただし、これまでの研究の多くは、恋愛中かどうかに関わらず男女全般を対象にしており、今まさに「恋をしている最中」の人々だけに絞って検証したデータは存在していませんでした。
そこで研究チームは今回、「現在進行形で恋愛中の若者」に着目し、より明確な答えを導き出そうとしたのです。
恋に落ちやすいのは男性だが、女性は〇〇しやすい
チームは、18~25歳の若年成人808人を対象に、「現在恋をしているか」を問う調査を行いました。
条件は「交際歴2年以内」「情熱的な恋愛感情を示すスコアが一定以上」の人に限られており、まさに恋愛の初期段階にある人々だけが参加しています。
参加者には、次のような項目について回答してもらいました。
・これまで恋に落ちた回数
・現在のパートナーと出会ってから恋に落ちたタイミング
・恋愛感情の強さ
・パートナーへの執着(思考時間)
・関係へのコミットメント(献身度)
その結果、意外なことに「男性の方が女性よりも、平均して1カ月早く恋に落ちる」傾向があると判明したのです。
さらに恋愛経験の回数も男性の方が多く、交際前から相手に恋心を抱いていた割合も男性の方が高いことがわかりました。

しかし一方で、恋愛感情の強さやパートナーへの執着、献身度では女性の方がやや高い傾向が見られました。
とくに「パートナーのことを四六時中考えてしまう」という思考については、女性の方が明確に高スコアを示していました。
これらの結果は、進化心理学の理論(性的選択理論)とも整合しています。
すなわち、男性はより多くの交際機会を追求しやすく、そのため恋に落ちるまでのハードルが低いのに対し、女性は相手の信頼性を見極めながら、より深く感情を育てる傾向があるのではないかと研究者らは推測しています。
今回の研究では、性差だけでなく、住んでいる国のジェンダー平等指数や性比(男女比)といった社会的要因も調整されたうえでの解析が行われており、信頼性の高いデータとして注目されています。
恋愛のかたちは人それぞれですが、男女の違いによって「恋の仕方」にある程度のパターンがあるのかもしれません。
参考文献
Fools of love: men fall faster than women, study shows
https://reporter.anu.edu.au/all-stories/fools-of-love-men-fall-faster-than-women-study-shows
元論文
Sex differences in romantic love: an evolutionary perspective
https://doi.org/10.1186/s13293-025-00698-4
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部