25日の日本市場では円が下落。中国が米国からの一部輸入品を高関税の対象から除外することを検討しているとの報道を受けて、円安・ドル高が進んだ。日米財務相会談で米国から為替目標などへの言及がなかったことも、円売りを促す材料となった。
円は一時1ドル=143円台後半まで売りが進行。為替の円安や米中貿易摩擦の緩和期待を背景に、株式は午後に上げ幅を拡大し、日経平均株価は米上乗せ関税が発表される前の水準を一時回復した。債券は下落。
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みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、日米財務相会談で円安是正の話が出なかったことへの安心感と、中国の対米関税を巡る話が好感され、「短期的には行き過ぎた円高が売り戻される展開になっている」と指摘した。
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国内為替・株式・債券相場の動き |
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為替
円相場は、日米財務相会談を受けて売りが先行。その後下げ渋っていたが、午後に中国が一部米製品の関税適用除外検討とブルームバーグが報じると下げ幅を広げた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、「報道を額面通り受け止めれば、米中貿易交渉が思ったより進展している印象を受ける」とし、ドル・円はヘッドラインに素直に反応していると述べた。
加藤勝信財務相は24日、ベッセント米財務長官と二国間協議を行い、為替を巡る原則を日米間で再確認した。会見では、米国側から為替相場の水準や目標、それを管理する枠組みなどについての言及は「全くなかった」と話した。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「日米財務相会談を無難に通過したことで、懸念で買われていた円が売り戻されている」と指摘。株高もリスクセンチメント改善の円売りを促した上、事業会社の決済が集中する五・十日(ごとおび)に伴う実需のドル買いも影響したと話した。

株式
東京株式相場は続伸。日経平均株価は上乗せ関税が発表される前の2日終値(3万5725円)を一時上回った。米中関税交渉が進展するとの期待から、村田製作所など中国関連株が物色された。日米財務相会談を受けて円高誘導への懸念が和らいだことも相場を支えた。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストは、報道は中国が米国との関係を前向きに進めることを示唆し、「マーケットとしては少しリスク許容度が上がっている」と指摘。日経平均は上乗せ関税が懸念されていた時期の3万7000円から3万8000円程度までは自律反発で上がっていけるとの見方を示した。
為替の円安を好感して、半導体を含む電気機器や自動車、機械など輸出関連株が上昇。個別銘柄では、24日公表の今期営業利益計画が評価されたニデック株が12%高と大幅続伸した。

債券
債券相場は下落。円安・株高を背景に売りが優勢だった。東京都区部消費者物価指数(CPI)が市場予想から上振れたことも重しとなった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、リスクオンの流れで債券相場の上値は重く、来週に日本銀行の金融政策決定会合を控えて「買いは手がけにくい」と指摘。東京CPIは全体的な内容も強く、債券の売り材料になったと述べた。
全国の物価の先行指標となる東京都区部CPIは生鮮食品を除くコア指数が4月に前年比3.4%上昇と3月から伸びが加速し、市場予想(3.2%上昇)を上回った。
関連記事:東京消費者物価は前年比3.4%上昇と伸び加速、市場予想上回る-4月
日銀は25日、定例の国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間3年超5年以下、5年超10年以下、10年超25年以下、物価連動債で、買い入れ額はいずれも前回から据え置いた。オペ結果によると、残存期間10年超25年以下の応札倍率は前回から上昇し、売り圧力の強まりを示した。他の年限の応札倍率は低下した。
関連記事:日銀:国債買い入れオペ一覧 (表)
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
0.685% | 0.895% | 1.330% | 2.220% | 2.705% | 3.105% | |
前日比 | +1.0bp | +2.0bp | +2.0bp | +2.5bp | +1.5bp | +3.0bp |

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。