金曜日, 5月 9, 2025
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ホームニュースゲームニュース『HUNDRED LINE -最終防衛学園-(ハンドラ)』100時間プレイレビュー。狂気の仕掛けにより加速し続ける、ゲームでしか味わえない衝撃体験(ネタバレあり) - AUTOMATON

『HUNDRED LINE -最終防衛学園-(ハンドラ)』100時間プレイレビュー。狂気の仕掛けにより加速し続ける、ゲームでしか味わえない衝撃体験(ネタバレあり) – AUTOMATON


アニプレックスは、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』を配信中だ。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switch。本作は『ダンガンロンパ』シリーズを手がけた開発者らが設立したトゥーキョーゲームスが手がけている。

最初に白状しよう。本作はボリュームが膨大であるため、レビューを執筆するにあたって30時間程度のプレイでもいいことが伝えられていた(もちろんその場合はインプレッション記事となる)。しかし、結果として真相ルート含め100時間プレイしたのだ。本作がどれほどの傑作であったか片鱗が伝わるだろう。また、本作はADVファンはもちろん、ADVをあまりプレイしないプレイヤーにもおすすめできる作りとなっており、そうした観点でもレビューしていく。

配信ガイドラインを守ればネタバレありで全編配信可能

なお、本作はあらゆる情報、それこそ公式から公開されている情報や、クリア時間すらもプレイ中の衝撃を奪いかねないものとなっている。幸いにも筆者は、ほぼ事前知識がない状態でプレイすることができたため、本作の衝撃を余すところなく体験することができた。もし購入を検討しているのであれば、願わくば情報をシャットダウンしてそのままプレイしてほしい。とはいえ、ネタバレせずに魅力を伝えることは困難を極めるため、本稿においては本作の根幹となる「ゲーム構造のネタバレ」ありでレビューさせていただく。ちなみに、まったくネタバレのない紹介記事も公開中なので参照されたい(関連記事)。

筆者のプレイ時間

※本稿はレビュー用コード(Steam版)の先行プレイにもとづき執筆。ストーリー細部のネタバレはないが、「ゲーム構造のネタバレ」により衝撃が奪われかねないことには注意してほしい。

超高密度に衝撃展開が訪れるやめどきのないストーリー

本作の衝撃をあえて例えるなら、『FF7』の例のシーンや映画『SAW』のような衝撃と言えば伝わるだろうか。しかも普通は1作に1度あるくらいの衝撃展開が、数時間おきに何度も訪れる狂気っぷりだ。より詳しく伝えるために、まずは体験版範囲の世界観やゲームサイクルを簡単に紹介しよう。

ドーム状に囲まれた東京団地で平凡な日常を過ごしていた高校生である主人公は、突如として怪物に襲撃される。謎のマスコットSIREIから授けられた異能・我駆力により窮地を脱するも、有無を言わさず「最終防衛学園」へと「転校」することに。消えない炎に囲まれた学園では、同じように転校してきた生徒たちがいて、人類滅亡に繋がるある物を「侵 校生」から100日間防衛することを命じられる。すぐに始まる防衛戦では一人が死亡してしまうが、生徒たちは何度も「生き返れる」ことも判明。2日目以降は自由行動により交流や強化し、7日目には予想できない衝撃展開とバトルが待ち受けている。

以上が体験版で語られるおおまかな世界観とゲームサイクルだ。独自用語やキーワードが多数登場しており、謎だらけであることが伝わるだろう。これだけ謎が多いと序盤は訳が分からないストーリーになりがちなのだが、本作ではそんなことはない。多数の謎はありつつも、目の前で繰り広げられる状況はすんなりと理解できる構成となっており、そもそものストーリーテリングが非常に上手いのだ。そのうえで、基本的には自由行動とバトルが1セットになった構成となっており、その1セット、最低でも10日に一回、数時間おきに7日目の衝撃と同等か、それを上回る衝撃展開が描かれる。しかも衝撃の種類は喜怒哀楽と多彩だ。常に謎だらけのストーリーと衝撃展開の連続でやめどきが見つからないのだ。

学園生活なので衝撃展開だけでなくBBQのようなほっこりイベントもある

キャラクターについても少し触れておこう。本作では個性的な生徒たちが15人も登場する。体験版ではSIREIがお気に入りだったのだが、クリアしたときには忍者侍・凶鳥狂死香(まがどり きょしか)が大好きになった。彼女はとある理由により常識を持ち合わせておらず、漫画雑誌「少年ジャンプ」から知識を学んだ過去を持つ。筆者自身も生粋のジャンプっ子であるため、彼女がジャンプネタを発するたびに笑いながら親近感を抱いたのだ。ちなみに、本作はジャンプに限らずネタの宝庫なので、一つの分野に詳しくなくても必ず知ってるネタに遭遇でき、キャラクターとの交流を楽しめるだろう。

ここから「ゲーム構造のネタバレ」となるので注意してほしい。数々の衝撃展開とバトルを乗り越え、100日目に至ることで本作はED(エンディング)を迎える。しかし、100日目でも多くの謎が残る。それまでに新たな謎も提示されるため、感覚的には半分以上の謎が残った状態と言える。そこで、とある能力により「100日間をもう一度やり直す」こととなる。便宜上EDは流れるものの、2周目ではなく「後編」が始まり、ここからが本番なのだ。誤解を恐れずに言えば「前編」にあたる100日間は、大ボリュームのチュートリアルでしかない。やり直し自体も唐突なものではなく、ゲームシステムを活用した巧みな表現で描かれる。

100日目を迎えたときにはみんな後悔を抱いている

後編では、主人公もプレイヤーも前編の記憶を持っているため、前編で起きたさまざまな事件を未然に防ぐことも可能となる。たとえば、2日目に発生するとある重大事件を防ぐことができて筆者は歓喜した。さらに、前編では独自言語を発していた敵の言葉も後編で分かるようになる。前編を踏まえたIF展開や、敵から得られる新情報などにより、衝撃度合いは強まり、衝撃密度は濃くなり加速していくのだ。筆者は前編終了時点で辞めることも考えたのだが、後編を少しだけプレイしたらもう我慢できなかった。真相をいくつも予想しながらプレイしても、ミスリードが巧妙でまったく当たらなかったことも辞められない要因の一つだろう。

そして本作の肝である100種類の分岐も後編から始まる。この分岐に至る選択肢が安易な作りではなく、「痛み」をともなう本当につらい選択肢となっている。実際に泣きながら選択することもあり、思い出しながら書いてる今も少し涙ぐんでいる。それほどにつらいのだ。ゲーム媒体だからこそ描ける表現と体験でもあり、こんなに感情を揺さぶられた体験は記憶を遡ってもすぐには思いつかない。

どんなつらい選択肢でも自身の手で決断しなければならない

そうしたつらい選択をいくつも経て、真相ルートの結末に至ることができる。しかし、真相ルートの結末は泣きながらプレイするほどに美しかったが賛否ありそうなEDであった。少なくとも筆者は「納得」できず、納得するための情報が不足していた。もし同じ思いを抱いている方がいればめげずに別の分岐ルートをプレイしてほしい。ルートによっては真相EDではわからなかった新たな事実が明らかになる分岐もあり、筆者は真相EDを「納得」できたとともに、分岐EDがお気に入りのルートになった。公式曰く「お気に入りルートあればそれが真エンド」とのことなので筆者にとっては分岐ルートが真エンドであったと言える。

なお、分岐が真相ルートか否かはクリアするまで分からないようになっているものの、後編に解禁されるチャプターセレクトを注意深く観察すれば真相ルートであることが分かるはずだ。とはいえ、真相ルートをいつクリアするかによって真相EDの印象は変わりそうなので、気になる分岐があればそのままプレイしてほしい。

そして、このチャプターセレクトがあまりにも便利かつ凄い。いつでも無制限に、前編後編の100日間の好きな日に飛べるうえに、後編に至っては分岐が視覚的に分かる巨大なフローチャートにもなっているのだ。さらに、チャプターセレクトを利用すれば自由行動やバトルを何度もおこなうことが可能となり、ほぼ無制限に強化することもできる。筆者は数ある選択肢の中でどれか一つしか選べない自由行動が窮屈に感じていたが、事実上時間が余ることで、後編はそうした制限を気にせずにすむ非常に嬉しい仕様であった。

すべてがクライマックス級なSRPGパート

本作のバトルパートはいわゆるSRPGとなっており、こちらも非常に出来がいい。どんなにストーリーが素晴らしくても読むだけの体験であれば、おそらく前編で辞めていただろう。100時間もプレイできたのはバトルパートの存在があったからこそだ。

まずはシステムについて簡単に紹介しよう。端的に表現すれば『ファイアーエムブレム』シリーズのようなシミュレーションバトル形式だ。マス目上のフィールドで味方と敵のターンが交互に訪れ、行動リソースであるAPを消費してキャラクターにさまざまなコマンドを指示していく。本作のストーリーバトルは防衛戦であるため、学園を攻撃されないよう敵をせん滅することが目的となる。また、ストーリーバトルは複数WAVEで構成されており、敵をせん滅するとHP全回復や死んだ仲間が復活して次のWAVEが始まることも特徴だ。

本作のバトル中も衝撃展開がいくつも用意されているのだが、筆者が一番驚いたのは参戦する味方の人数に制限がないことだ。このジャンルでは戦闘時に出撃メンバーを選択するのが一般的なのだが、本作では15人の生徒が戦う気になれば、15人全員が同時に参戦する斬新なシステムとなっている。生徒たちに用意された能力も多彩で、進行に応じて増えていく味方に対して「こんな能力ありなのか」と毎回嬉しい喜びを感じていた。生徒毎に異なる武器も驚愕ポイントだ。100日間の自由行動中には味方を強化できるので、参戦する全員のどのコマンドを強化するのか悩むのも 楽しいのだ。

そして本作のストーリーバトルは、すべてが強力なボス戦となっておりクライマックス級の戦いが描かれる。人類滅亡を左右するのだから当然でもある。敵も常に学園の正面から襲ってくるわけではなく、複数面同時に防衛したり、ボス毎に異なる能力による衝撃展開も描かれる。システムにすら介入するギミックもあり、「こんな能力ありかよ」と悲鳴をあげながら戦うこともあった。

SRPGなのに敵の姿が全く見えないギミックなどは序の口

そんな本作のバトルには高さ、向き、防御力といった概念がないのに戦略性が非常に高い。味方の人数に対して初期APは半分程度しかなく、同じキャラクターを複数回行動させることもできるため一つの行動が重いのだ。強敵を倒せばAPが増えるので、最初の行動を起こすまでに数分かかるほど最適行動を考える楽しさを味わえる。さらに、行動により溜まるVOLTAGEを消費すれば、必殺技もしくは永続バフを付与でき、瀕死になれば死と引き換えに必殺技を放つこともできるのでこれらの使い所も重要となる。筆者はWAVEをまたぐ永続バフがお気に入りで、最終WAVEで全キャラが見違えるほど強くなるのが爽快で大好きなシステムであった。

バトルにおいても「ゲーム構造のネタバレ」をさせていただくが、100日間をやり直すので前編と同じ敵やボスが登場するように思うだろう。しかし、その内容はガラリと変わる。筆者はなるべくノーデスを目指す緩い縛りでプレイしていたのだが、後編の初戦にていきなり一人死亡してしまったほど敵もギミックも強化されるのだ。その後も前編を上回る「こんなのありかよ」と思わずにはいられないシチュエーションが何度も訪れる。新たなシステムも登場する。バトルの面でも前編の100日間はチュートリアルであったと言えるのだ。

後編では類似バトルをスキップできる

なお、ノーデスを意識した緩い縛りでも、真相ルート含むすべてのバトルにおいてSランクであったため、歯応えがありつつ誰でもクリア可能な難易度だ。そのほか気になる点としては、せっかくの必殺技が次ターン中もスタンのデメリットがきつくて使いにくいことや、1戦が複数WAVEのため1時間前後かかることが挙げられる。特にストーリーをメインに楽しみたい人にとっては、バトルの長さはマイナスに感じるかもしれない。難易度セーフティでは毎ターンHPが回復することや、後編ではクリアした類似バトルをスキップできるため、ストーリーを楽しむうえで活用するのもいいだろう。

100日間100分岐ゆえに顕著化する問題点

本作は100日間100分岐を学園で過ごすという構成であるため、いくつかの問題点があらわになってくる。すぐに体感できるのは学園内でロードがあることによりテンポを損ねている点だ。学園内の施設にはFT(ファストトラベル)できるものの、毎日自室で寝起きして食堂に行くたびにロードがあり、自由行動中は会話のために施設間を移動するたびにロードがある。技術的な制約はあるだろうが、技術の発展もあることから学園内はロードのないシームレス化を実現してほしかったところだ。また、学園内における自キャラの移動速度も遅めで、ロの字形状の廊下では会話するために1周することもあり、こちらも非常にテンポを損ねている。FT前提の仕組みとは思うものの、生徒が廊下に配置されること含め強制的に学園内を歩くパートもあるため移動速度を上げる、もしくは廊下のFTポイントを増やしてそこに生徒を配置するような配慮が望まれる。

廊下にいるキャラクターはどの辺りにいるのか分からない

筆者は10以上の分岐EDを経験し、真相ルートからのほとんどの分岐後の変化について途中まで確認済みだ。しかし、分岐ルートでは類似バトルがほとんどとなりスキップしがちで、真相ルートほどのめり込めなくなってしまった。また、真相ルートクリア時点での各種強化は7割程度であり、分岐ルートを進めればおそらくフル強化できるだろう。しかし、スキップ可能な類似バトルでは強化を発揮する気になれないのだ。真相ルートクリア後は強化する意味を見失い虚しくなってしまった。

たとえば分岐ルートにも複数の異なるギミックを組み合わせたような、バトルバリエーションが用意されてればと思わずにはいられない。なお、バトルが連続するようなルートもあるものの、バトル自体は変わり映えしないため、やはり何かしらの変化がほしいところだ。とはいえ、複数WAVE前提でバトル設計されているため、変化を用意することが困難であることには一定の理解はできる。

ちなみに、本作にはキャラクターを「説得」するミニゲームがある。事前に調査した内容をもとに、会話しながら最適な選択肢を選ぶという形式なのだが、残念ながら楽しい体験とは言いづらい。というのも、事前調査の内容とはあまり関係ない選択肢が並び、間違ってもそのままやり直しできるので、結局その場で適当に選びがちなのだ。他にもミニゲームはいくつかあるものの、説得ミニゲームは調査に数日かかる割に「説得できた」という達成感を得られなかったため、もう少し凝ったギミックがあっても良かったように思える。

問題点を挙げつつも、総じてストーリーとバトルの両輪において本作は傑作と言える。ストーリーにおいては過去に類を見ない「仕掛け」と「痛み」をともなう無数の分岐など、ゲームでしか得られない体験ができるはずだ。バトルにおいても、既存のSRPGとは一線を画すシステムにより、真相ルートクリアまで変化に富んだ死闘を楽しめるだろう。ADVファンはもちろん、ADVをあまりプレイしないプレイヤーにも手放しでおすすめしたい。なお、本作のさまざまな仕様によりアニメのような映像化はほぼ不可能であり、仮に真相ルートだけを映像化されたところでゲームほどの体験は得られないはずだ。是非とも自身の手で真相ルートの結末まで見届けて情緒をかき乱されて欲しい。

『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』はPC(Steam)およびNintendo Switch向けに配信中だ。

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