金曜日, 5月 16, 2025
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「AI企業がトレーニングに使った著作物の公開を義務づける修正案」をイギリス貴族院が可決、無断使用OKとの政府方針を拒否 – GIGAZINE



「AI企業がトレーニングに使った著作物の公開を義務づける修正案」をイギリス貴族院が可決、無断使用OKとの政府方針を拒否 - GIGAZINE


AI開発企業が著作権で保護されたコンテンツをAIモデルのトレーニングに使っていることが問題視される中、イギリス政府は「権利保有者がオプトアウト(拒否の姿勢を明示)しない限り、企業が無許可でコンテンツをAIモデルのトレーニングに利用することを認める」ことを提案しています。この提案に対しては企業やアーティストから反対の声が上がっており、イギリス議会の上院に相当する貴族院も、政府の提案に反対するデータ法案の修正案を可決しました。

House of Lords pushes back against government’s AI plans | Artificial intelligence (AI) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2025/may/12/house-of-lords-pushes-back-ai-plans-data-bill


The UK’s House of Lords kicks back bill that let AI train on copyrighted content
https://www.engadget.com/ai/the-uks-house-of-lords-kicks-back-bill-that-let-ai-train-on-copyrighted-content-181540558.html

U.K. Government AI Plans Dealt Blow in Move Backed by Major Artists
https://www.billboard.com/pro/uk-government-ai-plans-dealt-blow-house-of-lords-vote/

AI開発企業はAIモデルをトレーニングするため、インターネットなどで収集したさまざまなコンテンツを利用しています。その中には著作権で保護された作品も数多く含まれており、アーティストや出版社、メディア企業などから反発が巻き起こっています。

そこでイギリス政府は2024年12月、コンテンツ制作者の権利とAI開発の成長とのバランスを取るために、新たな著作権法改正案を提案しました。イギリス政府の提案では、コンテンツの権利保有者がAI開発企業によるトレーニングに対するライセンスを持ち、トレーニングに応じて報酬を受け取ることができます。また、権利保有者がオプトアウトした場合、AIモデルのトレーニングにコンテンツが使われないことが求められます。

しかし、裏を返せば明示的な拒否がないコンテンツの無断使用を認めることでもあるため、この提案には批判もあります。また、OpenAIやGoogleといったAI開発企業も、有効性が確保されていないことや、AI開発の妨げになることなどを理由に、法案に反対していました。

イギリス政府による「権利者がオプトアウトしない限りAI企業が許可なしでコンテンツをAIモデルトレーニングに利用することを認める」という提案をOpenAIとGoogleが拒否 – GIGAZINE


イギリス政府の提案に反対しているのはAI開発企業だけではなく、アーティストやクリエイティブ産業の擁護派からも批判の声が上がっています。映画監督でもある貴族院議員のビーバン・キドロン氏はイギリス政府の提案について、「私が国会議員に言いたいのは、成長に全力を注いでいる政府の一員であるならば、なぜイギリス経済に1260億ポンド(約24兆6000億円)をもたらすクリエイティブ産業を弱体化させ、そうした産業で働く240万人の財産権を無償で手放そうとしているのかという点です。クリエイティブ産業はすべての選挙区・地域・国家に影響を及ぼしています」と批判しています。

キドロン氏はデータ法案の修正案も提出しており、その中ではAI開発企業に対し、AIモデルのトレーニングに使用したコンテンツの開示が義務づけられています。また、AI開発企業には、著作権で保護されたデータをスクレイピングに使われたクローラーの名前も明かすことも求められます。

キドロン氏は自身の修正案について、「テクノロジー企業は自分のウェブクローラーを持ってやってきて、すべての著作権で保護されたコンテンツを持ち出し、『おっと、トレーニングに使われたコンテンツはよくわかりません』と言ってきました」「私の修正案は企業がいつ、どこでコンテンツを利用したのかを説明し、透明性を持つことを義務づけています。これは著作権法をAI時代に適合させるものです」と語りました。

ポール・マッカートニー氏やデュア・リパ氏、エルトン・ジョン氏といったアーティスト、多くのメディア企業や音楽出版社、芸術団体などが、キドロン氏の修正案に賛成する公開書簡に署名しています。

25.05.09-Press-Release-and-Letter-to-the-PM-Creative-titans-and-industry-leaders-urge-the-Prime-Minister-to-support-UK-creativity-and-economic-growth-by-enforcing-copyright-law-Final-Updated.pdf
(PDFファイル)https://beeban.com/wp-content/uploads/2025/05/25.05.09-Press-Release-and-Letter-to-the-PM-Creative-titans-and-industry-leaders-urge-the-Prime-Minister-to-support-UK-creativity-and-economic-growth-by-enforcing-copyright-law-Final-Updated.pdf

Paul McCartney and Dua Lipa call on the UK to pass AI copyright transparency law | The Verge
https://www.theverge.com/news/666379/paul-mccartney-dua-lipa-uk-ai-copyright-amendment-letter


そして貴族院は、キドロン氏の修正案を賛成272票:反対125票の圧倒的な賛成多数で可決しました。修正案は今後、下院に相当する庶民院で審議される予定です。

キドロン氏は、「私は、政府の計画に反対する人々はテクノロジー反対派だという考えを否定したいと思います。クリエイターはAIの創造的・経済的価値を否定しません。しかし、私たちの仕事を使ってAIを無償で構築し、それを盗んだ人間から再び借りなくてはならないという主張は否定します」「皆さん、これはイギリス経済に対する攻撃です。攻撃は、イギリスにとって1200億ポンド(約23兆5000億円)に相当するセクター、産業戦略の中心であり文化的にとても重要な産業に対して、大規模に起こっているのです」と訴えました。

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🧠 編集部の感想:
このニュースは、AI開発企業の無断使用を許可する政府の提案が貴族院で否決されたという重要な出来事です。著作権を守るための修正案が賛成を集めたことは、クリエイターたちの権利が重視され始めている証拠と言えます。また、AIの発展とクリエイティブ産業の保護とのバランスを取る必要性を強く感じました。

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