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ややこしい価値の違い、これで解決!診断士試験でも使える財務の超基本中小企業の役立つ知識

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概要

この記事では、企業の価値についての基本的な概念—株式価値、企業価値、事業価値—を解説し、それぞれの違いや関係性を丁寧に説明しています。財務初心者でも理解しやすい内容になっており、企業の価値評価に役立つ知識を提供しています。

要約

  • はじめに

    • 企業の価値は経営者、投資家、金融機関にとって重要。
    • 「株式価値」「企業価値」「事業価値」の3種類が存在。
  • 3つの価値の全体像

    • 株式価値:株主の持分の価値。
    • 企業価値:全ての資金提供者から見た企業全体の価値。
    • 事業価値:本業のキャッシュフローに基づく価値。
  • 株式価値の説明

    • 発行済株式数×株価で算出。
    • 倒産時の残りの資産が株主に返される。
  • 企業価値の説明

    • 株式価値+有利子負債−現預金。
    • M&Aや投資評価で重要。
  • 事業価値の説明

    • 将来のキャッシュフローを現在価値に引き直したもの。
    • DCF法が一般的。
  • 3つの価値の関係

    • 企業価値は株式価値と事業価値によって構成される。
    • 負債が多いと株主の取り分が減少。
  • 実務での使い分け

    • 投資家は株式価値を、経営評価や買収では企業価値や事業価値に注目。
  • おわりに
    • 企業の価値を理解することは財務リテラシーの第一歩。
    • 今後の評価手法の学習にも役立つ基礎知識。

ややこしい価値の違い、これで解決!診断士試験でも使える財務の超基本中小企業の役立つ知識

中小企業の役立つ知識

2025年6月6日 07:02

財務初心者にもわかる「3つの価値」の基本と違い

1. はじめに:なぜ「企業の価値」を学ぶのか?

企業を評価するうえで、「この会社はいくらの価値があるのか?」という問いは避けて通れません。これは、経営者にとっても、投資家にとっても、金融機関やM&Aの関係者にとっても非常に重要なテーマです。しかし一口に「企業の価値」といっても、実は一つではありません。文脈や立場によって、「株式価値」「企業価値」「事業価値」といった異なる価値概念が存在します。

これらは一見似ているようで、実は評価対象も計算方法も異なります。そして、これらの違いを理解していないと、企業分析や投資判断の精度が大きく損なわれてしまいます。逆に、基本的な考え方さえしっかり押さえれば、ビジネスや財務に対する理解は一段深まります。

この記事では、財務初心者でもわかりやすいように、3つの価値の違いと関係性を丁寧に解説していきます。

2. ざっくり理解する「3つの価値」の全体像

まずはイメージをつかむために、3つの価値をそれぞれ一言で説明してみましょう。

株式価値とは、その会社の株主が保有している部分の価値です。企業価値とは、会社全体の価値。つまり、株主と債権者(主に銀行など)を含む、すべての資金提供者から見た価値です。

そして事業価値とは、会社の本業が将来生み出すキャッシュフローの価値を表すもので、いわば「稼ぐ力」に注目した価値です。

これら3つの価値はまったく別物ではなく、実はある「公式」によって関係づけられています。そのつながりを理解することで、企業の構造や価値創造の仕組みがより明確になります。

3. 株式価値とは何か?:株主の持ち分を表す価値

株式価値とは、企業の中でも「株主の取り分」に該当する価値のことです。もっと具体的に言えば、「発行済株式数 × 株価」で表される価値を指します。上場企業の場合、株式市場における時価総額がまさにこの「株式価値」に該当します。

株式価値は、株主から見た企業の価値であり、会社が倒産や清算をした際に、資産から負債を差し引いた「残り」が株主に返されるという考え方にもとづいています。つまり、企業が保有している資産が100億円で、債務が60億円であれば、株主の取り分=株式価値は40億円という計算になります。

この考え方は、会社法上の「純資産(純利益の蓄積)」の考え方とも一致しています。実際には市場の期待や成長性なども加味されて株価が変動するため、帳簿上の純資産とは必ずしも一致しませんが、基本的には「株主が持っている価値」であることに変わりはありません。

4. 企業価値とは何か?:会社全体の価値を示す指標

企業価値(Enterprise Value)とは、株式価値だけではなく、企業が借り入れているお金や社債といった有利子負債も含めた、「企業全体の経済的な価値」を意味します。より正確に言うと、企業価値は以下のような式で表されます。

企業価値 = 株式価値 + 有利子負債 − 現預金

この式の意味をかみ砕くと、こうなります。企業が本業を営むうえで、自己資本(=株主のお金)だけでは足りず、銀行からの借り入れや社債発行によって資金調達をしている場合、その資金の出し手(=債権者)にも、当然リターンが必要です。企業価値は、株主と債権者の両方から見た企業の価値というわけです。

たとえば、ある企業が株式価値として100億円、有利子負債が50億円、手元にある現金が10億円だとしたら、企業価値は「100+50−10=140億円」となります。

企業価値は、M&Aの現場や投資銀行の企業評価などでも非常によく使われます。なぜなら、株式を買うだけではなく、負債も引き受けることが実質的な企業買収になるからです。

5. 事業価値とは何か?:企業の「稼ぐ力」を表す価値

次に、「事業価値(Operating Value)」について見ていきましょう。事業価値とは、企業が本業から将来生み出すキャッシュフローに基づいて計算される価値です。よく使われる評価方法として、「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」があります。これは、企業が将来生み出すであろう利益やキャッシュフローを、一定の割引率で現在価値に引き直すという考え方です。

この価値には、金融資産や遊休不動産など、事業に直接関係しない資産(いわゆる「非事業資産」)は含まれません。事業価値はあくまで「事業活動そのものから得られる価値」に焦点を当てたものだからです。

たとえば、企業が将来10年間にわたって毎年10億円のキャッシュフローを生み出すと予測され、割引率を5%とした場合、それらを合計して現在の価値に直すことで、事業価値が計算されます。

M&Aにおいては、買収先企業がどれくらい稼ぐ力を持っているかを測るために、まずこの事業価値が評価されることが一般的です。

6. 3つの価値の関係性を整理する

ここまでの内容を踏まえると、3つの価値は以下のような関係式で結びついています。

  • 企業価値 = 株式価値 + 有利子負債 − 現預金

  • 企業価値 = 事業価値 + 非事業資産

このように、企業価値は「株主と債権者から見た総合的な価値」であると同時に、「事業活動から得られる価値+余剰資産」で構成されているのです。

たとえば、ある企業の事業価値が120億円、非事業資産が20億円、手元の現金が10億円、そして有利子負債が30億円あるとします。この場合、企業価値は「120+20=140億円」、株式価値は「140−30+10=120億円」となります。

このような関係性を正しく理解していれば、単に「企業価値が高いから株価も高い」といった短絡的な見方ではなく、「借入が多ければ株主の取り分は減る」といったより実務的な視点を持つことができます。

7. 実務での使い分けとまとめ

ここまで解説してきた3つの価値は、それぞれ使用される場面や立場によって異なります。

投資家や株主にとって最も重要なのは、もちろん株式価値です。これは自分が持っている株の価値そのものであり、企業の将来性や利益成長がダイレクトに反映されます。

一方、買収や経営評価を行う立場では、企業価値や事業価値に注目することになります。なぜなら、企業を買うということは、株だけでなく負債も引き継ぐことになるからです。

また、経営者にとっては、日々の経営によって企業価値、ひいては株式価値をいかに高めていくかがミッションとなります。そのためには、単なる資産の積み上げではなく、将来キャッシュフローを増やす施策──つまり事業価値の向上こそが本質的に重要です。

8. おわりに:財務思考の第一歩としての「価値の理解」

企業の「価値」を正しく理解することは、財務リテラシーの出発点です。株式価値、企業価値、事業価値──この3つの違いと関係性が見えてくると、企業を評価する目線が一気にレベルアップします。

今後、より具体的な評価手法として「DCF法」「WACC」「EBITDA倍率」などを学ぶ際にも、今回の基礎理解は大きな助けとなるはずです。ぜひ、本記事を起点として、財務・経営分析の世界を一歩ずつ進んでいってください。

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